こんにちは。胡です。
弊社では昨年より、KDDI研究所とTwitter分析に関する共同研究を行っています。
今日は、この共同研究について少し説明させて頂きます。
弊社におけるTwitter分析
研究背景
我々は、消費者行動に関するインサイトを知るためには、デモグラフィック属性に加えて、心理的、精神的な属性 (価値観) が必要だと考えております。
一方、Twitterを代表とするマイクロブログにおけるテキストには、発言者の心理状態や価値観が潜在化しており、このようなデータを分析することにより消費者の社会的類型や価値観を推定することができると考えられます。
そこで我々は、Twitterユーザの価値観と言語的成分をモデル化したTwitter×Societasモデルを提案しました。
Twitter×Societasモデルによる分析の特徴
即時性・話題網羅性に優れているTweetデータから構築したモデルで、発言者(Twitterユーザ)の価値観を推論することができます。
そのため、このモデルを利用した分析には以下のような特徴があります。
・消費者の本音が反映されています。
・広い範囲の消費者に対する分析を早いスピードで行うことができます。
・低コストで消費者のことを知ることができます。
・フォロワーを分析することにより、顧客層の構成を競合他社と比較することができます。
共同研究に至るまで
KDDI研究所は、Twitterユーザの性別・年代・職業などを高精度に推定することに成功を収めています。
KDDI研究所が開発したソーシャルメディア解析サービス「KDDI Social Media Visualizer」は、マーケターにとってなじみのあるデモグラフィック属性のセグメント分析に有益な情報を提供することができます。
KDDI研究所と弊社は、それぞれのアプローチでTwitter分析の研究を進めてきましたが、マーケティングリサーチの定番(デモグラフィック属性)に消費行動の共通要因(価値観)を結びつけることにより、異なる視点でマーケティング活動に貢献できると考え、共同研究を開始しました。
共同研究の成果
研究成果の展示
共同研究の成果の一部として、弊社の昨年のオープンラボにてSocietasが搭載されたSocial Media Visualizerのデモを展示いたしました。
デモ発表が大盛況で多数のお問い合わせを頂いております。
デモ発表の風景(弊社オープンラボ2013にて)
デモと実例
さて、消費者のデモグラフィック属性に価値観を追加することにより、どのような付加情報が生出せるのでしょうか。
以下に、現在ソチでオリンピックが開催されていますので、「オリンピック」を例にTwitter分析についてご紹介させて頂きます。
まず、Social Media Visualizerを使って、キーワード「オリンピック -東京」(オリンピック NOT 東京)を検索しました。
Social Media Visualizerデモ:「オリンピック -東京」(デモグラフィック属性)
キーワードが含まれたつぶやきに対するポジティブ・ネガティブの判定、それをつぶやいたユーザのデモグラフィック分布(性別・年代など)が全部一画面に表示され、マーケターにとってすごく便利なサービスだと思います。
また、上図に示したように、性別では男性が65%を占め、年代では20代・30代で合わせて60%を占め、真ん中の世代が多くオリンピックについて話題にしています。
では、同じユーザたちに対し、Twitter×Societasモデルで分析すると、どのようになるでしょうか。
Social Media Visualizerデモ:「オリンピック -東京」(Societas分析)
上図に示したように、Societasから見れば、オリンピックとつぶやいた人では、「6-1 繊細で個人主義タイプ」(Societas番号:#6-1)が割合として多い事がわかります。
このタイプの人は、マイペースで一人の時間を好むことが特徴です。
Social Media Visualizerを使えば、特定の言葉をつぶやいた人をデモグラフィック属性で分けてそれぞれのSocietas分布をみることができます。
以上に示したように、男性で「オリンピック -東京」とつぶやいた人は、「2-2 家庭的な真面目タイプ」と「6-1 繊細な個人主義タイプ」が多く、どちらかというと勤勉なタイプが多いです。
また、女性で「オリンピック -東京」とつぶやいた人は、「4-2 好奇心旺盛なバランス人間タイプ」、「5-1 家族想いの多忙ワーカータイプ」が多く、食品やファッション、化粧品など、自分を高める好奇心の旺盛なタイプであることがわかります。
実際に、例えば女性向けにキャンペーンを施策する場合は、Social Media Visualizerで女性に絞って、消費者の価値観を考慮しながらキャンペーン内容を細かく検討することが可能となります。
このように、デモグラフィック属性と価値観、異なる視点によるTwitter分析は、まるでクラシックとポップスの融合のようだと私は思い今後活用の場を増やす事が出来ればと願っております。
KDDI研究所とシナジーマーケテイングは、この新たな音楽の表現形式(=分析方法)をうまく演奏できるように尽力しています。
謝辞
最後になりましたが、共同研究を実施したKDDI研究所の方々に厚く御礼を申し上げます。
http://www.kddilabs.jp/